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オフィス移転の費用と項目、削減ポイント

オフィス移転の費用と項目、削減ポイント

オフィス移転に関係する費用は、住居用と異なり相場はあまり役に立ちません。相場よりも具体的なコストシミュレーションを行い、各費用を適正化しトータルコストを削減することが重要です。オフィス移転に関係する費用を項目ごとに分けて解説いたします。

新オフィスの賃貸借契約費用

概算で賃料の12~14カ月分(敷金・前家賃・仲介手数料)、50坪未満の物件であれば賃料の6~8カ月分(中規模未満だと更に礼金ありのケースが多くなる)が賃貸借契約時に必要です。なお、個人オーナー物件と大手デベロッパー物件・ファンド物件で必要な費用が異なります。

敷金・保証金

個人オーナー:賃料の3~12カ月分

ファンド物件:賃料の6~12カ月分

大手デベロッパー物件:賃料の12カ月分

通常、敷金は賃料の○○カ月分とすることが多いため、賃料に変更があった場合、追加で預け入れる、一部返金するケースがあります。

礼金

個人オーナー:賃料の0~2カ月分

ファンド物件:なし

大手デベロッパー物件:なし

保証委託料

賃料+共益費+駐車場代+看板使用料などの合計(月額固定費)の1カ月分が相場です。

保証委託料が必要ない物件もありますが、敷金を減額できるため保証会社に入ってもらう物件が増えてきています。

火災保険

面積や保険内容によって費用が異なります。2~3万円が相場です。

前払賃料

契約日、物件により異なり、日割り+1カ月分の賃料です。予算を考える際は、2カ月分とすると良いでしょう。

仲介手数料

法律で仲介手数料は最大で賃料の1カ月分となっています。不動産会社によって異なりますが、1カ月分と予算立てるのがよいでしょう。

新オフィスの入居工事費用

一般的に入居工事(事務所)の坪単価は10~30万円で、デザイン、グレード、物件により増減します。こだわりのデザインを採用し坪単価が40万円程度になることもあります。

仮設工事

ビルの共用部での搬入搬出時に欠損・破損を保護する役目や、専有部での高所作業や施工中の汚れ等を防ぐ工事です。

仮設工事では、養生範囲・養生回数・養生材料と過剰に項目と数量が設けられる傾向がありますので、初期段階で検証すべき工事の一つと言えます。

軽鉄工事・ボード工事

軽量鉄骨(LGS)やPB(プラスターボード=石膏ボード)を使って、壁や天井を作る工事です。天井の高さが高いほど使用する軽量鉄骨のサイズが大きくなりコストアップします。またプラスターボードにも種類があり、遮音性の高い(ボードが厚い)ものほどコストアップします。会議室など遮音性が必要な場所と、それほど遮音性が必要ない場所で仕様を変更した方が良いか、また欄間(らんま)オープンといった、天井から60cm以上の開口を設置することで、消防法によるスプリンクラー増設を省略することにより安くなるかどうかも検討しましょう。

内装工事(内装仕上げ工事)

カーペットやクロス(壁紙)、化粧シートなどで内装を仕上げる工事です。使用するカーペットやクロスなどの仕様により、金額が変わります。また、天井を化粧石膏ボードにすると、天井のクロス工事が不要になるためコストを下げることもできます。デザイン性を重視しての既存の天井材を抜いた方法では、原状回復の費用増加の要因となるので、既設照明は外しても退去時に再利用するできるよう必ず保管しましょう。

建具工事

ドアを取り付ける工事です。建具のグレードで大きく費用が変わります。
既存の鉄扉建具にセキュリティ機器の設置による開口穴を設ける場合、ビルオーナーの承認を取っておくようにしましょう。既存建具を加工すると、退去時に扉自体を交換する復旧責任を負う可能性もありますので、十分に注意しましょう。

パーティション工事

スチールパーティションの工事です。可動式と固定式があり、パーティションに取り付ける(付属)ドアは、建具工事ではなくこちらに含むことが多いです。また、中古のパーティションもあり、コストダウンすることも可能です。パーティション工事がB工事になるかC工事になるかでコストが左右されますので、契約前に工事区分の説明を受けるとき、テナント推薦のC工事業者で施工が出来るよう要望することができます

電気設備工事

コンセント、照明、LAN(ネットワーク工事)などの配線や分電盤などの工事です。OAフロアの工事や電話工事を電気工事に含む場合があります。

埋め込み型(天井を平らにできる)の照明の方が露出型(天井から出っ張る照明器具)よりコストが高くなります。また、使用するPCの数やコピー機の配置場所によって、電気配線の長さやブレーカーの数が変化しコストが変わります。

席数に合わせてOAタップを設置しますが、実際の使用以上に増やしてしまうことが多々ありますので、各自の使用状況に適した配置をすることでコスト減に繋がります。

空調管理設備工事

エアコンや吸気排気など空調に関係する工事です。レイアウト(特に間仕切り壁の新設により)により空調位置の変更を余儀なくされ、費用が想定以上にかかる状況はよくあります。、天井内の既存空調ダクトを枝分けして、吹出し口でエアコン環境を整える方法など、空調の新設移設以外の検討もしましょう。

給排水工事

オフィス事例は少ないですが、店舗の場合にスケルトンからだと、トイレやキッチンなどの設置、水、お湯の供給に関連する工事となります。入居後に給排水工事を行うと非常にコストが高くなりますので、ビルの既設設備から遠い設置場所になるとコスト高になるのでレイアウトをしっかりと考えましょう。

消防設備工事

火災報知器、消火設備、非常放送設備、避難設備など消防に関係する工事です。法律や条例で設置が義務付けられているものがありますので、当然ながら取り付ける必要性があります。また、ビルによっては、ビルの消防システムを変更する必要があり、費用負担が生じます。

ビル入退館システム工事

ビルの入退館システムや警備システムなどの機器導入や設定を変更する工事です。生体認証、ICカード認証など認証方式や設置場所数によって費用が変動します。

什器費用

テーブルや書棚、椅子、ロッカーなどの什器を購入し設置するときに生じる費用です。

什器を新しくする場合、オフィス工事に含めて業者から提案をうける場合は、新品だけでなく新中古など選択肢を複数もつようにしましょう。

引っ越し費用

書類、パソコンなどの機器、机、椅子、ソファーなどの什器を新しい事務所に運ぶ費用です。一坪あたり3万円程度が相場ですが、書類が多い企業様の場合、一坪あたり5万円に膨れ上がることもあります。

不要になった什器はリサイクル品として買い取ってもらう方法と、処分する方法があります。処分する場合は運搬業者が産業廃棄物収集運搬許可や一般廃棄物収集運搬業の許可があること、産業廃棄物処理業者も必要な許可を得ていることが必要です。リサイクルする場合は古物商などの許可を得ているか確認しましょう。いずれの場合も書面に残すことが重要です。

なお、不要になった什器を原状回復工事で出る廃棄物とまとめて処分する方法もあります。

旧オフィスの原状回復工事費用

原状回復工事の相場は坪単価3~15万円と幅があります。工事業者がビルオーナーにより指定されている点や現状によって大きく変動するなどの理由があるからです。

オフィス移転で計画した予算よりもオーバーすることが多いのが原状回復工事の特徴です。ただし、9割の企業様が適正価格よりも高い金額で原状回復をしているためコストを削減できるポイントでもあります。

諸経費

事務所移転の予算を考える上で忘れてならないのが、移転告知、官公庁への届け出などの諸経費です。

移転告知・修正

取引先にオフィス移転の挨拶状を印刷し発送する費用、ホームページやパンフレットなどに告知を出し修正する必要があります。また、名刺、封筒、パンフレットなど印刷物の住所変更も必要です。

従業員1人あたり1~2万円が相場です。

官公庁への届け出

税務署、法務局、社会保険事務所、健保組合、保健所など関係各機関へ移転の届け出が必要です。

弁護士や行政書士、会計士などの専門家に依頼した場合、10~20万円の費用が発生します。また法務局の管轄が変わる場合は6万円、管轄が変わらない場合は3万円の登録免許税が必要です。なお、専門家に依頼せずに自分たちで行うこともできます。

シミュレーションしてみる

これで移転に必要な費用を概算することができます。しかし、業種業態によって追加で必要になる項目がありますから、移転シミュレーションをしてみて過不足がないことを確認することが大切です。

また、シミュレーションをしたとしても、抜け落ちてしまいトラブルになる可能性もありますから、スムーズに移転を行うために専門のコンサルにサポートを依頼するのがおすすめです。特に原状回復では、9割の企業様が適正価格よりも高い価格で工事を依頼していますので、原状回復だけもコンサルに依頼することをおすすめします。

なお、早ければ早いほど交渉や費用削減のメリットが高くなります。オフィス移転が決まったら即座に行動するようにしましょう。

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