原状回復工事で求められるスケルトン工事とは?
原状回復工事とは、賃貸オフィスやテナント(店舗)を退去するときに求められる、入居時の状態に戻す工事のことです。オフィス・テナントの原状回復と賃貸住宅の原状回復は異なりますから、十分注意しましょう。
さらに、物件によって入居した状態や契約内容が異なりますから、原状回復工事の範囲も異なってきます。一般的には入居時にスケルトンであったのなら、原状回復工事でスケルトン工事が求められます。なお、「スケルトン」とは、間仕切りや天井、床と言った内装工事で造作された全てのものを解体・撤去するだけでなくエアコンや電気配線、排気ダクトなど全ての設備も取り外し、建物の構造体以外何もない状態に戻すことを言います。主に、飲食店などの店舗においては「スケルトン」状態に戻すことが多いですが、オフィスにおいては、「スケルトン」状態で引き渡す事例は少ないです。
なお、契約内容や居抜き譲渡などにより必ずしも入居時点の状態に戻さなくても良い場合もありますので、頭の片隅に入れておいてください。
スケルトン工事とは、天井や壁のコンクリートが見える状態にすること
天井や壁のコンクリートが見えており、空調機器のダクトや配線がむき出しになっているような状態のことを一般的にスケルトンといいます。
また、原状回復工事でスケルトンの状態に戻すことを「スケルトン戻し」や「スケルトン工事」といいます。
最近では、デザイン性が高く、天井を高くできるなどのメリットがあるスケルトン仕上げというオフィスも増えてきました。原状回復工事におけるスケルトン戻しと内装工事におけるスケルトン仕上げは内容が異なりますので、注意しましょう。
「原状回復=スケルトン戻し」ではありません
原状回復とスケルトン戻しを同じだと思われるかもしれませんが、誤解です。
賃貸オフィスの場合、店舗や飲食店と異なり最低限の内装が整っていることが多く、天井があり空調のダクトなどがむき出しになっていない状態で入居することが多いです。この場合の原状回復はスケルトンにすることではなく、最低限の内装が整っている元の状態に戻すことです。
例えば、スケルトン戻しであれば、入居時に造作した壁を解体し撤去しますが、最低限の内装が整っている状態に戻す場合は、壁紙の貼り替えや入居時に撤去した壁の作り直しといった工事が必要になります。
スケルトン工事が必要なのか要チェック!
賃貸オフィス退去時にスケルトン戻しになるかどうかは、入居時に結んだ賃貸借契約書及び特約の内容により判断されます。
極稀に入居時はスケルトンであったが、スケルトンに戻さなくても良い契約であることもありますので、契約書の内容を確認するようにしましょう。
なお、最近増加している居抜き退去(造作譲渡)の場合は、スケルトン戻しなどの原状回復義務を含めて、次の入居者に譲渡することになります。
居抜きの場合は権利関係が複雑になることが多くトラブルも多いため、退去する前に建物オーナーや次の入居者としっかりと打ち合わせを行い「原状」の定義や撤去範囲などなどについて齟齬がないようにしましょう。
原状回復工事を複雑にする「範囲」と「工事区分」
スケルトン戻しを含む原状回復工事は、業者に依頼することになりますが、下記の2点が絡みあい複雑です。
- どこまで原状回復が必要か(工事範囲、内容)
- 工事業者の指定はあるか
多くのテナント物件の場合、ビルの価値を保つため、ビルオーナーによってビルに影響を及ぼす部分について工事可能な業者を指定しています。
簡単にお伝えすると、契約書や特約に「原状回復工事は、賃貸人の指定する業者にて行うものとする。また、原状回復の範囲は、別紙原状回復要綱に基づくものとする」といったような記載があり、契約に基づき指定業者に工事を依頼する必要があります。
契約書に記載されている範囲が理解しにくい、曖昧であることもあります。曖昧なまま原状回復工事を行うとトラブルの原因になりかねません。事前に交渉するようにしましょう。
ちなみに、賃貸テナント物件の工事は、大きく3パターンに分けられます。どの工事がどれに該当するかは、契約内容により異なります。
A工事・・・ビルオーナーによる工事(共用部や外壁)
B工事・・・空調設備の増設や造作壁などの工事。(入居者が工事を依頼し、工事区分は建物オーナー)通常、工事できる業者が指定されている。
C工事・・・パーティション設置工事や電話工事など建物に影響を与えない工事。(入居者の資産で入居者が工事を依頼)自由に業者を選べる。C工事の割合が高くなると全体のコストが低下する。
工事の手順は、入居時はB工事⇒C工事。退去時はC工事⇒B工事となることが多いです。
原状回復工事が高くなる一因は指定業者
スケルトン戻しを含め原状回復工事が高くなる一因は、工事ができる業者が指定されている点です。
指定されているために、市場原理が働かず高い金額での工事見積となることが大半だからです。
別の見方をすると、交渉し適切な価格にすることでコスト削減ができるといえます。
原状回復工事の日程に注意!
オフィス移転後に原状回復工事を行いますが、工事業者が多忙の場合、オフィス移転後すぐの工事ができないこともあります。
退去までに工事が完了していなければ違約金が発生しますし、移転から退去までの期間の家賃支払いも必要です。
予備日の確保などを含めた日程を決めるだけではなく、進行状況についても把握し退去までに全てを完了するように管理しましょう。
スケルトン工事費用を抑えるには
工事費用を抑えるには、見積金額が適切な市場価格であるか、工事範囲が適切であるか、重複はないか、入居時よりも仕様がアップグレードしていないかなどをチェックし、必要であれば交渉し適切にしていくことが必要です。
言葉で書くと簡単ですが、現実的には難しく、9割の企業様が高い費用のまま工事を依頼しています。
もし、スケルトン工事を含む原状回復工事費用を削減したいのなら、原状回復のコンサルティング会社であるJLAにご相談ください。相談は無料です。お気軽にどうぞ。