オフィス・事務所移転時の
原状回復費削減ノウハウ
2021.5.27
飲食店の原状回復のポイント
「原状回復」は、一般的に「入居時の状態に戻す」という意味で使用されます。
「入居時の状態に戻す」といっても様々なケースがあり、トラブルになることも多いのが実情です。
そこで、飲食店の閉店(移転)に必須な原状回復について、わかりやすくご説明いたします。
まずは、賃貸借契約書と特約をチェック
飲食店を閉店しよう移転しようと思ったのなら、まず賃貸借契約書と特約の内容を確認しましょう。
原状回復という文字がなくても「造作、設備等を撤去し・・・をした上で本物件を引き渡す」といったような記載が見つかるかと思います。
簡単にいえば、「入居者の負担で行った壁や天井などのインテリア、厨房などの機器を撤去します」という内容です。
このような記載に基づいて行う工事が原状回復です。
もし、原状回復についての記載がなければ、ビルオーナー(貸主)に確認するようにしましょう。
どの業者に原状回復を依頼するのかチェック
多くのオフィス・飲食店・店舗物件は、原状回復工事ができる業者を賃貸借契約書や特約で指定しています。
この業者のことを一般に指定業者といいます。
指定業者となっている場合、他の業者に工事を依頼したり、相見積もりを依頼したりするとトラブルの原因になりますので、指定業者で工事を行うようにしましょう。
なお、指定業者の場合、競争原理が働かず工事費用が高額になりますが、見積もりを査定し交渉することで削減することが可能です。
どこまで原状回復をすればいいのか範囲をチェック
居抜きで入居した場合は、特に注意していただきたい部分です。
どこまで原状回復が必要なのか、賃貸借契約書・特約で調査しましょう。
飲食店の場合、スケルトン方式か、居抜き方式のどちらかになることが多いです。
スケルトン方式
スケルトン方式であれば、間仕切りや天井、床と言った内装工事で造作された全てのものを解体・撤去するだけでなくエアコンや電気配線、排気ダクトなど全ての設備も取り外し、建物の構造体以外何もない状態に戻します。
飲食店や店舗に多い形式で、ブランドイメージを表現できる特徴や競合店舗との差別化が容易である面がありますが、入退去時の費用が高くなります。
居抜き方式
天井や壁紙などの内装や厨房などの設備がある状態で入居するのが居抜き方式で、飲食店では居抜き方式での入居が増えています。
居抜き方式は、さらに2つに分けることができます。
どちらの方式なのかは賃貸借契約書や特約に記載されていますので確認しましょう。
造作譲渡の居抜き方式
元々スケルトン方式の物件であったものを、譲り受けて(造作譲渡といいます)飲食店をオープンさせる方式です。
この造作譲渡の場合、スケルトンに原状回復する義務も含めて譲渡されるため、閉店し退去する場合、スケルトンに原状回復する必要があります。
ただし、大家さんの許可を得て、次の借主を探し造作譲渡することで、スケルトンに原状回復しなくて済む場合もあります。
居抜き状態で退去OK
居抜きで入居し居抜きで退去できる方式で、入退去時の工事費用が抑えられるメリットがあります。
退去の際に壁紙や天井の張り替え、および造作した設備(焼肉店の卓別の換気扇など)の撤去だけで原状回復が済む契約です。
退去時の原状回復範囲は物件によって異なり、タバコによるヤニ汚れや油汚れ、損傷だけを回復し、通常の使用による劣化を回復しなくても良い場合もあります。
原状回復工事の費用が高くなる店舗とは
契約書や特約で定めてある元の状態(入居時の状態)から、下記の変更があると原状回復工事の費用が高くなります。
同時に工事期間が余分に必要になりますので、日程に余裕を持たせましょう。
- 厨房区画を変更した
- トイレの位置を変更した、トイレを増設した
- 個室がある
- 壁や天井を撤去した
- 空調機器を移設・追加設置した
原状回復の見積もりを依頼
原状回復の範囲や方法、指定業者の有無を確認したら、即座に原状回復の見積もりを依頼しましょう。
早めの行動が原状回復の工事費用を抑えるコツです。
また、貸主(ビルオーナー)に退去する旨を忘れずに連絡しましょう。
もし造作譲渡で居抜き退去したい場合は、貸主に造作譲渡による居抜き退去の許可を得てから、期限を決めて次の入居者を探しましょう。
多店舗経営は注意!
同じビルオーナーであっても物件によって、賃貸借契約書と特約の内容が異なっていることが多いので、多店舗経営をされている場合は注意しましょう。
A支店とB支店を同時期に退去することになったとしても、原状回復の範囲や工事業者は店舗ごとに異なることが多く、原状回復費用の坪単価も異なってきます。
原状回復の見積もりが予想よりも高額なら
提出された原状回復の見積もりが予想よりも高額だったり、適切な価格か不明であったりしたら、次のように対応しましょう。
指定業者の工事でなくても良い場合は、相見積もりを別の業者に依頼し、金額交渉しましょう。
指定業者での工事が必須なら、JLAに査定を依頼しましょう。
原状回復のコンサルをしているJLAでは、安心の100%成功報酬で原状回復工事の査定から削減交渉まで行っています。お気軽にご相談ください。