オフィス・事務所移転時の
原状回復費削減ノウハウ
2021.9.15
オフィス内装工事の相場とコストダウン
新規オフィスの立ち上げや、オフィス移転に必要となる内装工事(入居工事)の相場はスケルトン物件で坪20~40万円、天井や壁がある状態で坪10~30万程度とされています。相場でみても2、3倍近く差が出てしまうのが内装工事です。
相場に差が出てしまう理由はさまざまですが、デザインはそのままでコストダウンできる可能性もありますので、優先順位を決めて適切なコストになるように調整し内装工事(入居工事)の依頼をしましょう。
スケルトン物件と壁紙がある物件、居抜き物件
テナント向け物件(賃貸事務所)には、大きく3つの区分があります。内装工事の高い順に並べると、下記のとおりになります。
- 建物の躯体が見える状態のスケルトン物件
- 壁や天井などがあり、最低限の内装が整っている物件
- 会議室や机などの什器がある居抜き物件
スケルトン物件の魅力は、自由なデザインが可能である点です。自由なデザインが可能ということは、工事費用も高額になります。また、設計費用などが加算されることもあるので、注意が必要です。
オフィス向け物件で最も多いのが、最低限の内装が整っている物件です。造作壁やパーテーション、建具、壁紙、照明などを内装工事で変えることが可能です。
最近増えてきたのがオフィス向けの居抜き物件です。居抜き物件は入居時に行う内装工事費用は抑えられるメリットがありますが、仕事の流れに応じた配置や動線の設定に柔軟性がないこと、退去する際の内装工事を含む原状回復工事が高額になる可能性もあります。
どの物件でも同じことなのですが、賃貸事務所を退去する際にトラブルにならないような賃貸借契約を結ぶことも大切です。
物件によっても差が出る内装工事
同じ内装工事であっても、物件によって費用が変わってきます。テナント物件(店舗向けやオフィス向けなど)の工事には、下記の区分があるからです。(一般的な区分になります)
- A工事・・・ビルオーナーによる工事
- B工事・・・入居者の要望で行う、建物に影響する工事
- C工事・・・入居者による工事
オフィス内装工事で関係するのは、B工事とC工事です。どの内装工事がB工事になるかC工事になるかの区分はビルによって異なり、C工事の割合が高い物件であれば、内装工事費用は抑えられます。
B工事ができる業者はビルで指定されていることが一般的なため、同じ工事でもB工事の方が高額になってしまうからです。もちろん交渉することで適正な金額にすることもできますが、工事や単価に詳しくないと交渉しても上手く減額できません。
資産区分も異なるB工事とC工事
資産区分も工事によって異なり、B工事の場合はビルオーナーの資産になる場合と入居者の資産になる場合がありますが、一般的には入居者(テナント)の資産となります。
B工事の費用は入居者(テナント)が負担しますから、入居者の会計処理は「建物もしくはほかの固定資産」の勘定科目に入れて、資産計上し償却資産として扱い耐用年数に応じた期間で減価償却をします。退去する際は持ち出すことができませんので減却処分を行います。
B工事とC工事を同じときに実施する
C工事の内容が少ないなどの理由で、B工事を行うときにC工事も合わせてビルオーナーの指定会社に依頼するとコストダウンになることも稀にあります。養生などの手間が1回で済むといった理由があるからです。
見積もりだけでも依頼して費用を比較してみると良いかもしれません。
退去時の原状回復工事にも注意
原状回復工事もB工事となり費用が高くなることにも注意が必要です。
ちなみに原状回復工事の勘定科目は「修繕費」とすることが多いです。
給排水設備工事は高い
内装工事の中で単価が高いのは給排水の工事です。トイレなどの設置や移設、ショールームに水回りが必要な場合、厨房を併設する場合などは高額になりますので、多めの予算確保が必要です。
壁を設けるなら、造作壁よりパーテーションが安い
会議室などを設けるときに、造作壁を作るかパーテーションにするかで、内装工事費用が変わります。遮音で考えれば造作壁がベストですが、パーテーションの方が安くできることが多いです。
また造作壁はB工事になることが多く高額になりがちです。一方、パーテーション工事はC工事になることがあり、中古品を使用することで、さらにコストダウンすることも可能です。
外部に漏れてはいけない重要な話やスピーカーを使って音を出すことが多いのなら、造作壁にするメリットが多くなります。社内の打ち合わせがメインであるのなら、パーテーションにするかどうか悩ましいところです。倉庫や更衣室はパーテーションで問題ないでしょう。
消防設備にも注意
内装工事で壁や天井まであるパーテーションを設ける場合、火災報知器の設置や排煙設備を設置する必要があります。また各部屋に空調や換気設備も入れる必要があります。
間仕切りをしてしまうとコスト高になってしまうので、防音する必要がないのであれば、天井付近が(欄間)空いているパーテーションを使う方がおすすめです。
また、火災報知器の増設や空調の移設(増設)をしないでも良いような区切りで仕切ることで、内装工事費用を削減することもできます。どこで間仕切りするのか、動線やスペースなどを踏まえながらしっかりと考えましょう。
費用を抑えるには
内装工事費用を抑える方法を下記にまとめました。
- B工事の割合が高いビルを避ける
- 間仕切りの場所や方法を検討する(消防設備や空調など)
- スケルトン物件ではなく最低限の内装がある物件を選ぶ
- 居抜き物件を探す(契約内容に注意)
- 使用する部材のグレードを下げて安いものにする、中古品を使う
- 水回りは可能な限り手を加えない
- B工事とC工事を同じ業者に依頼してみる(高額になる可能性もあり)
内装のデザインを少し工夫するだけで、おしゃれな内装のまま内装工事の費用を抑えることができます。
オフィスの新設や事務所移転は、さまざまなフローがあります。不慣れな交渉でコスト高のまま内装工事を依頼することになったりすることもあるでしょう。株式会社JLAでは、適切な金額でB工事ができるように工事業者との交渉を含めたコンサルティングを行っております。オフィスの内装工事で心配な点や工事見積金額に不満があるのでしたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。