オフィス・事務所移転時の
原状回復費削減ノウハウ
2021.9.15
居抜きオフィスを選ぶコツ
「居抜きオフィスは入居工事が最低限で済むから、安く入居できる」
「スタートアップだから、まずは居抜きオフィスを探している」
というような理由で居抜きオフィスを探されている事業者の方が増えていますが、注意していただきたいことがあります。
「退去工事費が異様に高かった」
「退去してから、入居時と退去時の費用を精査したら、居抜きオフィスを選ぶ必要がなかった」
このようなことにならないように、十分気を付けてください。
居抜き物件のメリットとデメリット
オフィス用の居抜き物件のメリットとして、下記のことがあげられます。
- すぐに入居できる
- 初期費用が少なくて済む
- オフィスのレイアウトをあまり考える必要がない
いずれも経費の削減に繋がるため、オフィスの居抜き物件は非常に魅力的です。魅力的なあまり、次のデメリットに目がいかないことがあります。
- 効率的なレイアウトにできない
- 工事が必要ですぐに入居できないこともある
- 退去時の費用が高額になりがち
- 原状回復の基準が曖昧で、トラブルになる事がある
特に、注意していただきたいのは、退去時に関することです。不動産賃貸は出口(退去)戦略をしっかりと持っておかないと、トラブルや費用増に繋がってしまうからです。
そこで、居抜き物件を契約するときに必ず確認すべきことをご案内いたします。
居抜き物件の契約内容に注意
居抜き物件に限らず、不動産賃貸は物件によって契約内容が異なります。
特に店舗や事務所、テナント向けの事業用物件は、特約が設けられていることが多く、特約の内容で原状回復の範囲などが変わってきます。
居抜きオフィスで特に気を付けていただきたいのが、トラブルが多い「原状回復」についてです。
契約時は原状回復ついて必ず確認を
退去時に行う原状回復について、「いつまでに、どの範囲を、どの程度まで、どのくらいの金額で行うのか」契約書や特約に記載されているか確認しましょう。
しっかりと確認していなかったために、退去費用が高額になったという話はよくあります。
居抜き物件から退去するときは、スケルトン返しにしなければならないのか、居抜きのまま退去できるのか、パーテーションや机などの資産区分はどうなっているのか、などを契約時に確認する必要があります。
例えば、契約ではスケルトンにして退去しなければならない物件を、前の借主が退去する際に、建物オーナー(大家さん)と交渉し、居抜き退去しても良いことになりました。運よく次の借り手が見つかり、新たな賃貸借契約を結ぶことになりました。新たな契約では、既存のパーテーションや机などの什器に加えてスケルトンに戻す義務も引き継がれました。スケルトンに戻す義務(原状回復義務)も前の借主から引き継がれますから、居抜きで入居したとしてもスケルトンにして退去する必要があります。
また、居抜きで入居できたからといって、居抜きで退去できることは保証されていないことにも注意が必要です。
もちろん、建物オーナー(大家さん)がパーテーションや机などを設置しているような物件もゼロではなく、居抜きで入居して居抜きで退去することも可能な物件もあります。SOHO向けのレンタルオフィスをイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。
スケルトン戻しの場合は範囲に注意
スケルトン戻しのトラブルの多くは、どこまでの範囲をスケルトン戻しにする必要があるのか、という部分と工事費用です。
スケルトン戻しが必要な契約の場合、「範囲」について記載された図面を契約書に添付してもらうようにしましょう。また施工業者についても自由に選べるように契約書に入れることができるとベターです。
退去時に最低限の内装に戻す契約は範囲と仕様に注意
一般的にオフィス物件は、退去時にスケルトンではなく壁紙や天井などがある最低限の内装状態に戻します。また、壁紙の張替や天井の塗り替え、管球の交換は原則的に入居者負担となっております。
貼り替える壁紙などの仕様が、正確に契約書に入っているかどうか確認しましょう。
「入居時点と同等の壁紙」という文言では、仕様が分からなくなりトラブルになる可能性がありますので、壁紙のメーカー名と品番を契約書や特約に入れ込むことが重要です。
居抜き退去OKでも工事なし退去がOKとは限らない
居抜き退去OKとした物件でも、壁紙の貼り替え工事を行ってから居抜き退去するような契約もあります。壁紙の貼り替えが必要ならば、どの仕様の壁紙に貼り替えないといけないのか、契約書に明記しておくことが大切です。
もちろん、SOHO向けのレンタルオフィスのように、そのまま工事なしで退去できる物件もあります。
曖昧な賃貸借契約書はトラブルのもと
曖昧な契約書で賃貸契約してしまうと、間違いなくトラブルが発生します。
以前から不動産賃貸はトラブルが多く、様々な判例が出ています。判例の多くは退去時です。退去時のトラブルの多くは入居時の契約内容で防止できます。トラブルで裁判などになると、弁護士費用や訴訟費用、余計な手間が増えてしまいますから、トラブルにならないしっかりとした契約書で契約するようにしましょう。
株式会社JLAでは、建築・不動産におけるコストの適正化のコンサルティングを行っており、オフィスや店舗の移転に伴うB工事の減額交渉やオフィス移転プロジェクトマネジメントなどを行っております。お気軽にお問い合わせください。